拍手話に使用予定01
「これ美味しいね」
「だろ。コンビニの限定品なんだって」
外に出てもいいってデウデシオンが言ってくれた。もぎもぎも、俺と一緒なら外に出てもいって、イネスのおっさんが言ってくれたんだって。
だから最近は、ハイネルズが連れてきてくれた公園で、二人で遊んでる。
「こ、こんび……に?」
「何でも売ってるんだ」
「へえ」
「もぎもぎは知らないの?」
「あてしの村に、こんびにはなかったよ。商店はあったよ」
「?」
二人でコンビニ限定スイーツを食べたんだけど……足りなかった。もっと食べたいな……って。
「……」
「……」
「買いに行ってみようか? もぎもぎ」
「うん! あてしも見てみたい、こんびに」
部屋に戻って、
「これこれ」
カードと携帯電話を持った。携帯電話の使い方は解らないけど、
「ここをお金払うところで、ぴっ! ってすると、お金払えるんだ」
お金の払方だけは解ってる。
ハイネルズが買っている姿をみて、覚えたんだ。
「お金、何処に入ってるんだろ?」
「あの、じゃらじゃら音するのね。不思議だよなー」
もぎもぎと手を繋いで、近くのコンビニへと向かった。
旗があるからすぐに解る。クマの絵が描かれてるからさ。
「これください」
店員ってひとが覚えててくれたみたいで「前も来てくれたね。また来てね」と言われた。
「みんなのこと覚えてるのかな? 凄いな」
「たくさん人がくるのに、すごいね」
前にハイネルズと通った時に立ち寄った、マンション傍の公園じゃない公園のベンチに座って、もぎもぎと一緒に”スイーツ”を。
「お茶もあるからな。それで、キャップ開けてくれる?」
「いいよ」
俺、元が猫だから握って回すってのがどうも苦手。
「はいどうぞ、ざうにゃん」
「ありがと、もぎもぎ」
食べ終えて、二人で空を見上げたら、
「二人でお散歩してみようか」
「そうだね。ちょっとだけ遠くに行ってみようか」
何処かにいけるような気がした。
※ ※ ※
「……こういうの、なんて言うのかな? もぎもぎ」
「迷子っていうんだよ、ざうにゃん」
車が走っている道に掛かってる道(歩道橋)で、俺ともぎもぎは呆然としていた。
道ばたの花を見たりしていると楽しくて、ついつい遠くまで来ちゃって。気が付いたら帰り道が解らなくなってしまった。
マンションは高いから、どこかに登れば見えるかな? と思って、この道に登ってみたんだけど……見えない。
「ご、ごめん。もぎもぎ。俺が散歩しようなんて言うから」
「ううん。あてしお散歩とっても楽しかった。嬉しいもん」
「そ、そうか。帰る方法捜さないとな」
「大丈夫! あてしにはこれがあるから! これをお巡りさんに見せれば、ほぇほぇでぃ様のところに行けるから! 絶対に帰れるよ!」
もぎもぎがいつも首から下げている、銀色のキラキラしたのを俺の前に出してきた。
「これってなんなの?」
「認識票だって」
「認識票かあ。この文字はなんて書いてるの?」
「分かんない。あてし、その字は読めないんだ」
「そうなんだ。そうだな……見た事ないな。それで、お巡りさんってなに」
「お巡りさんはお巡りさんだよ。警察の人で交番にいるんだ」
警察、交番、お巡りさん……難しいなあ。
ちゃんと覚えておくんだった。あ、そうだ……携帯電話の使い方も。デウデシオンに連絡付けられたら良かったのに。
「そこを捜すといいんだな!」
でもそんなこと言っても仕方ない!
頑張ってもぎもぎを連れて、無事にマンションに帰るんだ!
「うん。誰かに聞きたいんだけど、誰も通らないね」
「誰か通るまで待ってるか。ちょっと疲れたしな。もぎもぎ、ジュース飲んで」
「ありがと」
二人で下を走る車を見ながら、持っていた菓子食べた。
「この認識票、ほぇほぇでぃ様から貰ったの」
「ほぇほぇでぃ様って?」
「綺麗な人だよ。とっても綺麗で、あてしびっくりしちゃった。……あてしのお家はパイナップル農園だったんだ」