、君
蒼ざめた夜【06】

「知らん! こんな子供、知らん!」
「酷いよ! デウデシオン。俺、ザウディンダルだよ! 猫のザウディンダル」

 エライことになってます。
 はい私、実況のハイネルズ☆でございます。
 まあ皆さん、お聞き下さい。
 親族関係はほぼ本編と同じです。メタだっていうのは、無しの方向でお願いしますね。
 もちろんデウデシオン伯父様にはバロシアンさんという息子がいます。ここは明かになってます。妻やクレメッシェルファイラさんに関しては”割☆愛”
 さあて。私たちは、デウデシオン伯父様が体調を崩したということで、タバイ伯父様とその奥方様であるミスカネイア様が様子を見に行くとしたのですよ。
 ミスカネイア伯母様は当然ながら医者☆
 その時、私やバルミンセルフィドやエルティルザも一緒にいたので、デウデシオン伯父様に”たかろう”と言う下心を持ち、此処までやってきたのですよ。
 デウデシオン伯父様お金持ちで、お小遣い結構くれるので。
 ちなみに私の父と母は外国で何かしてます。多分スパイらしいんですが、スパイって家族にもスパイだって言っちゃいけないから、知らないふりをしてあげているってもんですよ。
 私は出来た息子です☆

「貴方たち、何時までこの子を裸にしておくつもりですか!」

 まあ結局様子見として、私とバルミンセルフィドにエルティルザ。タバイ伯父様とミスカネイア伯母様。そしてタウトライバ伯父さんとキャッセル伯父さん、そしてバロシアンさんと一緒にやってきたんですよ。
 むかう途中、コンビニから出て来たデウデシオン伯父様を発見して、強制ピックアップですとも。それにしても、コンビニから出て来る姿の似合わないこと。

「確かに」
「全面的に」
「その子」
「ザウディンダルでしたっけ?」
「正しいでしょうね」

 そしてマンションの玄関扉を開いたら、全裸の幼児が抱きついてきたんですよ。その後は阿鼻叫喚の天国ですよ。
 最初はみんな驚いて、デウデシオン伯父様が幼児趣味に走った上の凶行か? と考えたんですが、よくよく見ると”ザウディンダルくん”は、猫耳が頭にあるんですよね。そして後ろ側には長い尻尾まで。
 ”美しい毛並みの黒猫だった”という証言が信用できる姿です。

「それで、この子をどうするのですか」
「猫ならまだしも、人間に似たような姿では……誰か引き取ってくれない」
「嫌だよ! デウデシオン! 一緒にいられないなら、猫に戻る! 戻して下さいってお願いするから! やだ!」

 全裸の幼児。猫耳に長い尻尾つきという、凶悪なまでに可愛らしい子に抱きつかれて、デウデシオン伯父様も困ってます、困ってます。

「……」
「デウデシオン!」
 抱きついている腕を払いのけて、デウデシオン伯父様は立ち上がり、その後ろを必死に追いかけたのですが、猫から人間への変化で足元がおぼつかないようで、出しっぱなしの掃除機に足を引っかけて転んだんですよ。
 そしたら……

「大丈夫か! ザウディンダル……おまえ、猫又」

 私たちは父たちの壁によって見えなかったのですが、ザウディンダルくんの股切れてたらしいですよ。
 要するに女性器があったってことです。男性器は私たちも確認してましたが、これは驚きです。
 もっとも驚き混乱していたデウデシオン伯父様は、女性器を見て”猫又”言ってしまいまして、ザウディンダルくんを寝せつけた後にミスカネイア伯母様から説教されて反省することに。

「雄だったはずなのに……」
 酒が注がれたグラス片手に”ザウディンダルくんは雄だった”と呟いてますが、今はそれどころじゃないと思うんですが。これからのデウデシオン伯父様の生活に興味が沸いた私は、同棲……じゃなくて、ザウディンダルくんの日中の面倒を見たいと立候補してみました!

蒼ざめた夜[終]

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