ビルトニアの女 外伝1
貴方を抱いた日

第十三話・永遠の一度[3]

 突然の衝撃が走る。本日三度目の衝撃の後、
『エールフェン選帝侯によるハンシリアンボルイド攻撃により メイン出力炉97.2%崩壊 4:25:33 地表激突 推定落下地点 ジブリアフェン区域 アティ ロマルトート クルセンバ 全域 予想死亡ジウボリス網カルファテン目カルガテン科全属数180万人 落下速度……』
 今、この無機質という音が紡ぎだす声が確かに言った「エールフェン選帝侯によるハンシリアンボルイド攻撃」……攻撃内容は理解できないが、ヤロスラフがハプルーを攻撃したのは確実だ。理由は知らないが。
「何やってやがるんだよ! ヤロスラフ!」
「な? 何?」
 ミゼーヌはゆっくり泣いている暇もありはしねえ。
「コイツがあの惑星に落下する。下手なところに落下したら、大勢の死者が出る! 何してやがんだよ!」
 下手な所ってか、落下地点は推測されてる……今の地名に言い直せばセンド・バシリア共和国のファルファス地域で、かなりの人が住んでいる。
「探したぞ、ドロテア」
 悪い事したという態度が全く無いヤロスラフが、何時もと変わらない顔をして現れた。文句の一つも言いたくなるだろ?
「一体何しやがったんだ!」
「叱責は後で。どれ程の拷問も受けよう」
「俺はお前を拷問する程、体力も気力もねえよ。相変らずかみ合わねえな、ヤロスラフ」
「そうか?」
 絶対に第三者がいたら、かみ合ってないと感じる筈だ。少なくとも、お前の血縁のオレクシーよりはマシだが。
「何でメイン出力炉を破壊したのかは知らないが、メイン制御室から地上のバンサークに連絡をいれて、誘導してもらえば?」
 俺はそう口にしたが、良く考えれば俺が思いつく程度の事は、ヤロスラフには解かるんだよな。それで返って来た答えは、
「バンサーク内ではデズラモウスが遺跡の無効化を行っていた。ここに来る前に鎮圧してはきた。その際に若干バンサーク内部も破壊したので、誘導は出来ないだろう。通信できるくらいには回復したかもしれないが」
 誘導できないほどの破壊って、オマエ……
「…………」
 救出する破壊魔とでも呼べばいいんだろうか? 此処は怒るところなんだろうか? 怒鳴る所だよな、うん……。俺の気持ちなどお構いなしに、あの放送と同じく、見事なまでに事実を並べ立てる。
「左の主な区画はザーベティアが生命活動制御を切った為、制御室にいた者達は全て死亡した」
 おや? 来た奴全員死んじまったのか。こっち側から制御するのも、地上から誘導するのも無理って事か。
「……あのさ、どうするつもりだ?」
「お前たちを連れて逃げるよう、オーヴァートに言われている」
 どのタイミングで怒ろうか? そうは考えていたが、止めた。
「オーヴァートは?」
「先ほど、吹き飛ばしてしまってな。通常のオーヴァートであれば何ら問題ないのだが」
 俺はヤロスラフを凝視した。だって、普通の状態だぞ? 反逆の兆しがあれば……
「吹き飛ばした?」
「少々、意見の相違があってな。吹き飛ばしたのだが、その力がオーヴァートに当たって跳ね返って出力炉を破壊してしまった」
 『意見の相違』今、確かにそう言ったぞこの男! ハプルーをふっ飛ばしても、怒鳴るに怒鳴れねえじゃねえか!
 オマエのその態度を、反逆とオーヴァートが見なさなくなった。そういう事なんだな。拷問でも何でもしていいと言ったんだ、後でゆっくりと聞かせてもらおうじゃねえか。
「……落下まで、あと何分だ?」
 ああ、死にそうなのに(地上の人間が)途轍もなく楽しい。愉快っていうんんじゃねえか? コレ。
「二十二分六秒だが?」
「このまま行けば、人口密集地に落下する。俺はセンド・バシリア共和国は嫌いだが、この遺跡を叩き落すほど、どうこう思っちゃいねえ。ハプルーの周回速度や周回場所、機動速度調整、突入角度の制御で、グレンガリア王国跡の海に落下させる事はできねえか?」
「そのように行動しろと言う意味か?」
「そうだ!」
「正直難しい問題だ。周回場所を変えるとなると、制御板を強制的に移動させなくてはならない。あれの周回場所を移動させるのは、オーヴァートにしか出来ない」
 そうか、あの制御板は周回場所での移動編隊だったから操れた訳だが、今やろうとしているのは制御板自体の周回場所を移動させる事だから……確かに、そんな方法はなかったな。
「衝突しても何の問題もねえんじゃねえのか? あんなに小さいんだから」



「アれは、私達の残骸だ」




「オーヴァート? 声が変だな」
 姿も相当変だがな。褐色には戻ったんだが、それこそ遺跡の表面を覆っている流体金属で出来た人形のような。動くのも、足を動かしてではなくスライドして移動している。でも、多分オーヴァートだ……ろう。この状況下でオーヴァート以外が現れるとも思えないからな。
「気にするな、音声機能回復まで至っていないだけだ。イま言った通り、あれは私達の祖先フェールセンを元にシテイル為、衝突などするとこちら側も損傷がある。この、被弾と破壊と破損率が80%を超えた以上、衝突するのは得策ではない。だが全てを強制的に動かすのには手間が掛かる……だが、弾き飛ばせば何とかなるだろう」
 特徴的な鈍色の瞳は回復しているらしいが、目蓋はない。目が痛くならないモンなんだろうか? 
「弾き飛ばす? 板を?」
「此方が進む方向にアる制御板を、殴り飛ばす」
 言いながら、オーヴァートは躯を変化させた。全長がガクッ! と沈み、リーチが異常に伸びたし増えた。この、魔の舌“皇帝版”で“皇帝板”を打って弾くのな。
「いきなり……すごく、原始的だな。いや、それが出来るだけ凄いと思うけど……」
「それが確実だ。一人では間に合わなイので、ヤロスラフを連れて行く。ドロテア、お前が突入場所・角度を制御シろ。手動ならばまだ動くはずだ。反重力装置は、全損しテはいない。半損以上ではあルが」
「メインの制御室は使えないのか?」
「見知った顔が破裂してる場所には行きたくはあるまい? 気圧の変化のせいで、皆深海から上げられた魚のような顔になっているぞ」
「……そうか。じゃあ、俺は何処で制御すりゃあ……その前に! 左区画に居た人間を殺したザーベティアは何処に居るんだ?」
「左区画のローカル区画だ。そこで操れ、行くぞ! ヤロスラフ! ドロテア!」
 俺より小さいオーヴァートを先頭に、区画の外れに向かった。
 騒ぎが成功しなかったザーベティアは自殺していた……訳でもなさそうだ。どう観ても殺害されているようだ……恐らく、ジェダにやられたんだろう。
「我々は制御板を殴ってくる。やりたいように、上手くやればいい。安心しろ、失敗してもお前たちだけは助けてやる」
「それは信じてるさ」
 それだけを言うと、オーヴァートとヤロスラフは消えた。
 大急ぎで地上と交信を試みると、何とか回復していたバンサークと通信が取れた。被害を最小限に食い止める為の計算をさせる。こっちにはそれを計算できる機械もなければ、人も居ない。オーヴァートが居れば簡単に弾きだすんだろうが、今現在あの二人は宇宙空間で”祖先”という”板”を殴り飛ばし移動させているだろう。

 笑えない状況だが、想像すると笑える、かなり笑える。

 地上との交信をしていて気付いたんだが、制御装置のある場所と交信機のある場所が少々遠い。正確には、相当だ。交信して、はじき出された数値を覚えて打ち込んでまた戻ってきて……間に合わねえ気がする。一分一秒を争う時に、そんな事はしてられねえからな……。
「ミゼーヌ! お前がメッセンジャーになれ! 此処から出てくる言葉を伝えろ」
「でも……」
「大丈夫だ。失敗しても恨まれるのは俺だけだ。俺なら恨まれても問題はねえ」
 頷いた、オーヴァートと助けようとした度胸と、泣くだけで済んだ胆力、そしてオーヴァートが天才だと言った頭脳が本当であれば、こなせるだろう。
「頼むぞ! ミゼーヌ。そして、バンサーク側! 計算間違うなよ!」
『手動切り替え完了 地上落下迄八分三秒』
 此処まできても“避難”なんて単語が出ない所に、潔さを感じる。俺は目の前の複雑な文字が書かれたボタンを押し、ミゼーヌが運んでくる数値を入力しては、ハンドルで遺跡の角度を変える。フェールセン城の次に大きなこの遺跡を、片手で動かせる程度の棒っきれのようなハンドルで動かすのは、厄介だった。
 微調整がきかない。俺はこの手の感覚がずば抜けているわけじゃねえから、どうにも……
「突入までに、第二事象4.8888から9-を559度の方向に。第九バラストにハリウラム溶液8を9.66%、凝固性金属の比率-288.3に下げる事」
 ミゼーヌは、本当に天才だったようだ。聞いた事をスラスラと、喋る、普通はこんな聞いた事もない単語を、次から次と口に出来るモンじゃない。
「そうか」
 比率を下げるのは、打ち込めばいいからどうにでもなるが。そんな微細な動き、此処で設定できるのかどうか? 適当に覚悟を決めてハンドルを動かす。その時だ、
『反重力装置 破損率100% 稼動停止』
 待て! それが無けりゃ、墜落速度計算が合わなくなる! 突入角度の再計算も……
「なんで直らねえんだよ!」
 壊せない、自己回復能力があるってのが古代遺跡のウリだろ?
「上手く突入しろよっ!」
 被害が最小限に食い止められればいいな。

**********

 その時、マシューナル王国は昼過ぎで、私は闘技場にいたわ。
「うぉぉぉぉぉ! レクトリトアードォォォ! 勝てぇぇぇ! 勝つんじゃぁ〜」
 樫の杖を持って大暴れするアンセロウム。
 ロイヤルボックスとか、貴賓席とか嫌うのよね。『遠い』とか『感動はやはり一般席』とか言って。
 感動はどうでも良いとして、樫の杖持って暴れ荒れると困るのよ。周囲の人だって困るとおもうのよ。
 だから、私が樫の杖を持っている側に座って
「そんなに叫ばなくたって、圧勝でしょ。あの男は」
 大暴れするその杖を、鍋の蓋で受け止めるのよ。
 全く、レクトリトアード戦ってそんなに面白いかしら? 見る気がしなくて、鍋蓋で樫の木の杖を受け止めながら空を仰いでたら
「昼過ぎに流れ星?」
 その言葉にアンセロウムの一言
「遺跡の落下色じゃな。大気圏に突入したのじゃろ」
「落下? 落下するものなの?」
「あの大きさだとハプルーじゃな」
 ハプルーって今ドロテアが
「強いぞぉぉ! レクトリトアァァードォォォ!」
 私レクトリトアード嫌いなのよね! そして

 確か現時点で最高責任者よね、この人

**********

 夜、人気の無い商店街の外れの階段に腰をかけて、ボトルのキャップを開けて水を飲んでいた。夜だから酒の方がいいんだが、見つかると大変な事になるんで。
「真剣さがないな」
 カンテラを持った、組んでいるハイネルが咎めるわけでもなく来た。
「夜警って眠くて」
 水の入っているボトルを投げる。それを受け止めて口に運ぶ。
「そういえば、結婚迫られてるんだって? クラウスの姉に。付き合ってるなら結婚しなきゃならない年齢だろ」
 クララは俺と同い年だから二十四歳。確かに適齢期の後のほうだけどさ。
「向こうの親御さんが大反対。もっと、地位もやる気もある男に嫁がせたいらしいよ」
「地位はアレだが、やる気は解かる気がする」
 投げ返されたボトルを受け取って、立ち上がる。
「おまえの所のラトリアは?」
 ラトリアはまだ、もう直ぐ二十歳になるくらいだ。両親がいないから、ハイネルが決めるだろな。妹に甘い兄だから、ラトリアが望んだ相手なら誰でも嫁にやるだろうが。
「あ? 別に……ちょっと問題アリな男に入れあげてて、聞く耳持たねえ。止めておけばいいのによ、ウィレムなんぞ」
「そりゃ、また……あのな、ハイネル。ウィレムの事なんだ……」
「そこ! 何をしている!」
 俺達の持っているカンテラよりも明るいヤツを持ってる、
「来たぞ、俺達の上官様が」
 上官様がやって来た。
「上官なんだから、黙って室内に居てくれればいい。仕事熱心でいらっしゃる」
「ハイネル! エルスト!」
 また、始末書書かされるんだろうな。やれやれ……と目線を上げると、星に混じって変なものが。
「申し訳ございませ……どうした? エルスト」
「あれ……何か可笑しくないか?」
 長く“尾”を引いた、何かが暗闇に明るいオレンジ色の線を描いている。
「流れ星……じゃねえよな。隕石の落下か何かか?」
 二人も見上げる。
「だとしたら、大き過ぎるよな」
 尋常じゃないくらい、でかい。何だ、ありゃ? そういえば……
「そう言えば、学者連中が“空中の大要塞の調査隊編入”とか言ってなかったか? クラウス、ハイネル……すまん、役職名で言うの忘れたクラウス」
 また始末書だ。
「まさか……大要塞って相当デカイんじゃあ」
 ハイネルの言葉に
「ネーセルト・バンダ王国総面積の三分の二にあたるはずだ。確認しにゆく! 二人とも付いて来い」
 救いようのないクラウスの答え。かなり……大きい。やれやれ、下手すりゃ徹夜になりそうだ、
「はいはい」
 明日は、クララに会わなきゃならんのに。眠いな……
「“はい”は一度だけだ! エルスト!」
「はい」
「義兄になるのも、大変だな」
「義弟が大変だろ。それにしても、夜空に映えるな」

信じられない程、綺麗だ

**********

「おやつの時間!」
 今日も主に祈りを捧げ、お菓子を食べます。
「これ、美味しいよシャーリーも食べるといいよ」
 チーズケーキも好きですけど、此処は港町なんで鰊のパイも美味しいんですね。鯖もいけますよ。
 十二歳にしてこれらの美味しさを覚えてしまいましたよ。勿論、甘いケーキも好きですけど。でもミートパイも好き。ナツメグが強い方が好み!
 姉さんから送られて来たケーキサーバーとか色々、ティーカップもあるよ。凄い高いらしいんだって、教官の司教様は言ってたけど、よくは知らない。
“思いっきり使え”って手紙も入ってたし。
「いいの? ヒルデガルド」
「うん、ヒルダって呼んでくれるともっと嬉しいけど」
 シャーリーはつい最近付いてくれたシスター。シスターが付いてくれたので、これから“神学に勇往邁進しつつ、ケーキ一杯食べます”って手紙だしておいた、姉さんに。
 姉さんが寄付してくれたみたいだよ〜お母さんからそう手紙が来たからね。
「まあ。私も買ってきたの」
「わあ! マフィンだ! このオレンジマフィンがおいしそうだ!」
 テーブルから溢れるケーキ! マフィン! ゼリー! ババロア! 今日もありがとう御座います! 主! ケーキを前にテーブルに熱い視線を送っていると
「昼間に流れ星かしらね?」
 窓から外をみてたシャーリーが青空を指差した。そこには
「おいしそうな色してるね、オレンジ色で」
 オレンジマーマーレードのような物
「そうね」
 シャーリーと二人でオレンジマフィンを食べながら、見てました。夕食はサーモンのオレンジソース添えだったら良いのになあ……流れ星だから祈れば叶うかなあ。

 数年後、この日の事を姉さんに喋ったら、ボコボコにされたのは何故だろう? 姉さんの方から聞いてきたのに。

**********

 突入角度が合ってたかどうかは解からないが、急激に感じる重力に体が持っていかれる
「ぐああああ! 今世界で一番憎いのは、オレンジマフィンだ!」
「何事だ?」
 戻ってきたオーヴァート(だろう物体)が俺を包み込む。衝撃を軽くしてくれるらしい。ミゼーヌハヤロスラフが担当している。……あっちのほうが、安心できるような、まあ良いか。
「知らねえよ。突然食いたくなったんだよ! 突然ヒルダも殴り倒したくなった」
「ヒルダとは誰だ?」
「俺の妹だよ」
「お前、妹いたのか?!」
「ああ、俺に似た顔したボケが一人」
 寄付した事に対する礼の手紙が“神学に勇往邁進しつつ、ケーキ一杯食べます。ご飯はもっと一杯食べます! お酒はまだ飲めません! お祈りはまだ苦手です。聖典覚え切れません!”
 てめえ五年間毎日、神学を学んでなんで、覚えられネエんだよ! ヒルダ! それに手紙として可笑しいだろ? おい! これで成績優秀者だってんだから!
「驚いたな」
「この状況下で、その位の事に驚きを覚えるな!」
 何でこう、切羽詰まってないんだよ! お前は!
「そうそう、オレクシーはヤロスラフの兄だ」
「何を突然言い出すんだよ!」
「尋ねていたが、答えは帰ってきていなかっただろう」
 そういえば、そんな事もあったが。お前、思考回路まだ上手く繋がってねえだろ? なあ?
「そんな事、どうでも良い!」
「喋るな、舌噛むぞ。最も噛んでも治してやるが」
『喋らせ続けたのはテメエだろ!』


 多分今日五回目の衝撃、四回目は大気圏突入時だ……。
「無事、着水した」
 ファルファス地域からは外れたらしい。此処を航海している船があったら悪いが、被害を最小限ってのはこういう事を言うから、仕方ネエだろ。
「そうかよ……寝てもいいか?」
「暫くは何も起こらないだろう」
「起こらないんじゃなくて、起こさないだ。騒ぎの元凶はいつもテメエだ、オーヴァート……眠……」
 ここでブッツリ意識が途切れた。


「ゆっくりと休むが良い」


 聞いた所によると、三日間眠り続けていたそうだ。
「……本当にか? ヤロスラフ」
「本当だ」
 確かに身体は痛いような気もするが、喉も渇いていないし腹も減っていない。三日間も寝てりゃあ、普通は腹も減るしな。
「栄養分や水分は吸収させておいた」
 アンタらなら、そういう事も可能だろうな。
「あ、そ……。ところで、何でまだ此処にいるんだよ?」
 俺が目を覚ました場所はハプルー。いまだハプルーに留まっている。勿論、出られないわけではない、何せ邸にあるのと同じベッドの上で目が覚めたんだから。わざわざ此処まで持ってきたわけだ。
「騒ぎも大きいし、何よりオーヴァートが望んだ事だ」
「ふ〜ん」
 今頃は大騒ぎだろうけれど、オーヴァートはまだ此処に篭っているのか。立ち上がり、身体を伸ばす。さて、マズ何をしようか? などと考えるよりも先に、ヤロスラフが肩に手を置き、通路を指差した。
「オーヴァートはこの先にいる」
「会いに行けって事か?」
 三日程、風呂に入ってないんだが、それでもいいのか? 行けと言われたからには行かなければならないだろう。三日ぶりに歩いたが、身体はそれほど鈍ってはいないようだ。
 黒い金属に足音を響かせて、歩き出した背後から
「ああ……ドロテア……」
 遠慮がちな声が聞こえてきた。立ち止まり、振り返る。
「何だ?」
 黒い床、銀色の壁、そして赤紫の光に照らされた選帝侯は、確実に笑っていた。
「ありがとう」
 あの日、もうヤロスラフが覚えていない“あの日”の笑顔と同じ。
「俺、感謝されるような事したか?」
 耳が痛くなる程静かな要塞遺跡の中で、濃紫の瞳が閉じた目蓋に消えた。
「さあ、行ってくれ」
「そう言や、ミゼーヌは?」
「まだ眠っている、よほど衝撃が大きかったのだろう。栄養は与えているから平気だ」
「……そりゃそうだろな。じゃ、様子見てくるわ」
 俺は四本指の手を上げてヒラヒラと動かし、小さく見える扉に向かって再びゆっくりと歩き始める。俺は振り返らなかったから……振り返っても気付かなかっただろう。

「ありがとう、そして……」

お前はいつかオーヴァートの元を去ってゆくのだろう


小さな水滴が、金属の床に落ちた音だけは聞こえた。
小さな、僅かな水滴が落ちる音だけ。


 指し示された方角に向かって歩き、扉を開けた。中は無音だった、全てがせわしなく動いているというのに。
「何だ、コイツは……」
 金属と透明な筒、そして球体。その球体が流れるように動くような造り。何かを製造している……そうだ、これは
「核だ。魔法生成物の核」
 魔物と混同される魔法生成物の核。この核を移動させて造るんだろう。その一部をオーヴァートは破壊し、核を床にばら撒いている。
「相当形が元に戻ったな、オーヴァート。……食えるのか、その核?」
 それらの核を口に運び、嚥下している。全裸のオーヴァートは、人間と同じような姿には戻っている。
「人間は食べられないだろう。ただ食べた所で死ぬだけだ、私が取り込む分には力となるが」
「へぇ……自己修復じゃなくて、外部構築ってやつか?」
 外部から力になる物体を取り込み、それを元に作り上げるのか。
「ジェダが語ったのか?」
「ああ」
「そうだ、此方の方が回復は早い。ただ、色々と問題がある」
「だろう……な」

いや、俺が見ても解かる。その問題ってのが。だから“構築”なんだな。

「何故助けた?」
「さぁね……っていうよりも、説明するのが面倒だ。感情的行動に一々説明を求めるなよ。何回も言ってるだろ」
「あの時の畜生という叫び声、聞いていて心地良かった」
「悪い魔法使いに襲われた、非力な親子。この場合は母と幼児だと通りがいいだろうな」
「それが?」
「悪い魔法使いの刃に結局貫かれる、母親は幼児を庇いながら絶命する。母親が先に絶命してしまえば、残された幼児は悪い魔法使いの思うがままだ。結局は殺される」
「それが現実だ」
「そうだ、だから俺は庇う母親の行為は無駄だと考える。そんなのは無意味な行為、自己満足にしかならないと。庇いつつ先に死ぬのであれば、相手に一矢報いるなり、子を捨てて逃げて再起を図るなりをするべきではないかと?」
「お前らしい」
「俺は元々、勝てない相手には子供でも何でも投げつけて逃げる気はある……あった。お前を庇った時、負けるのを確信しながら身を挺した。愚かだと、だが止められなかった。女は情を交わした相手に弱くなると、よく言われる。俺はそれを身を持って知ったんだ……だがな、それ程悪くなかった」
「ドロテア」
「悪くはなかったさ、お前を庇って死ぬ瞬間。ああ、これが自己満足なんだろうと知りつつ、身体が爆ぜてゆく音と熱にも似た痛みが走る体。そして倒れる時に観た、お前の出来上がったばかりの虹彩のない瞳。その鈍色の瞳に映し出される己の血を、骨を吹き上げながら死ぬ自分のその姿に笑いを覚えながらも、それでも良かった」
「……」
「愛していない男に抱かれる事も出来る。だが、愛していないかった男は、愛する事ができる事を知った。何も自分をけしかけて暴行させた男に魅せられる必要もねえが……感情を口にするってのはこういう事だ、説明しきれない、どう説明しても伝わらない。……女ってのは賢くないそうだ、それはそれで良いと俺は心底思ったね、そして今もそう思う。賢くなくて結構だ、愛した男を無駄だと解かりつつ庇えるこの愚かさを持てるのだとしたら、女である事は悪くない。元々、悪いと思った事はないけどよ」
「男もさほど賢くはないだろう」
「だから上手くのさ。自分が愚かな事に気付いた時に」

「そうか……愚かさに気付けば上手くいく……か」

俺は、オーヴァートが何故単身で外殻に出て、対空砲を浴びたのかは解からず終いだった
聞く事もなかったし
オーヴァートも言いはしなかった
聞いた事と言えば
“宇宙空間でも平気なのか?”だけ
「ああ、平気さ」あまりに普通に答えが返ってきたので、何となく笑った


「あのハプルー事件からだな。笑うようになったのは」
問われたミゼーヌに、そう答えた記憶がある


 俺の要望で、風呂に入ってから寝る事にした。ヤロスラフに頼んでこようとしたのだが“その程度なら容易い”との事で、オーヴァートが魔法生成物製作所の脇に三十人は入浴できそうな風呂を作成した。……この程度の事なら、大した事はないらしい。
 二人で浴槽の縁に肘をおき、掌に顔を収めて『核』が送られてくる様を観ていた。この『核』がどこから来ているのかは、オーヴァートですら解からないのだと。今頃、核を製造している何処かは、大忙しだろうよ。届くそばから核を口に運ぶオーヴァート。その一つでどの程度の魔法生成物が出来上がるのかは知らないが。
 全身を洗い終えて“準備できたぞ”と、色気も何もない合図を出すと、オーヴァートも浴槽から出てきた。

 相当な違和感を覚えるが、此処は無視しておこう。本当は無視できない違和感もあるが、俺としては無視したい。無視しちゃまずいのかもしれないが……

 近付いてきたオーヴァートは、突然左手を差し出してきて
「さて……私も準備しようか。これは擬似臓器だ」
 左手に銀色の丸い物体を作り上げた。
「擬似?」
「私が造った、臓器の代用品。正確な臓器とは違うので、これだけでは動かないし、正式な動きはしない」
「それ意味ねえだろ?」
 ただの器? ではなさそうだ。
「そうだな。だが動くように動力となるものを仕込めばよい。例えば、この魔法生成物の核などを同調させれば、この通り」
 届いた核を右手に乗せて、その銀色の物体に融合させた。途端、形がはっきりとして蠢く。
「それ……」
「擬似子宮だ。そしてコレにお前の望んだゴルドバラガナを施せば……お前が望む、胎児を使うものよりも力を使える」
 呪文を唱えると、その銀色の擬似子宮は紫色の文様に覆われ、俺が肉眼で見ても解かる程の力がそこに現れた。
「魔法生成物にはならないのか?」
「私が造った偽りの臓器の中、それは此処にある核製造機の中にあるのと同じ事」
 能力基本値の高さから、それは当然に違いない。それを浮かせた左手と、俺の腹の前にある右手。その右手が何かをしたらしく、俺の腹から赤い臓器が引き出される。何の感覚もない。ただゆっくりと引き出されたそれは、子宮だった。卵巣も卵管も引き出されている。
「俺に拒否権はねえんだろ? 子宮も卵巣も出されちまってるしよ」
 オーヴァートは擬似臓器を俺の腹の中に埋めた。身体の隅々まで流れてくる、人間にはありえない力。
「どうしてもとお前が望むならば、いつかは返してやろう。これにもゴルドバラガナを施して」
 オーヴァートの手の上で、柘榴とそれにくっ付いている二本の管を持つ自分の臓器を見ながら、思う事はただ一つ。
「……」
「何故引き抜いたか不思議そうだな」
「そりゃ不思議だろ?」
 ゴルドバラガナを施した子宮を此処に戻せばいいじゃないか?
「前に教えたはずだ。私は望まなければ相手を孕ませる事はないと。そして、私の子を身篭れば最後だ。お前の望むゴルドバラガナは手に入らない。私の造った擬似臓器であれば、それは回避されるから」
 俺の腹の中に、その赤い物体があると困るのか? 俺も、アンタも。
「それに、私はゴルドバラガナ以上なんだよ……施しておきながら、それを越える」

 何故、次代を造ることにこれ程否定的なのか? この時はまだ解からなかった。

「なる程。だったら、暫くは預けておいてやるよ」
 腹の上から触ってみたが、見た目ほど硬くもないようで、触れ心地は同じだ。違ったとしても、腹に触ってくるのなんざあオーヴァートだけだ。自分で入れたモノに文句を言う事もできないだろう。
「五十四回も生き返らせたのだ……私もお前の事を嫌ってはいないのだろう。ドロテア、お前の言葉を借りれば“感情に説明を求めるな”だろうが」
「まあな。あの場面でヤロスラフが来なかったら、何回目で諦めようと思った?」
「五十五回、あと一度だけだった。命拾いをしたな」
「そうか……一つ聞いて良いか?」
「何だ?」
「顔、随分と変わってるんだが。躯もだけどよ」
「ヤロスラフの記憶を元に再構築したのだが、違うか? 再構築だから仕方あるまい」
 そう、修復ではなく構築。修復は時間がかかるが元通りになる。だが、構築は外部からきた情報、取り込んでいる核などの情報が錯綜して、同じようには回復しない。
 一目見て、オーヴァートだと解かったが、前とは全く違うものだとも理解した。
「ヤロスラフにはお前がそう見えるんだな」
 良く言われる事だ。他人が見る人の姿は、自分の中にある人の姿とは違うと。通常ならばそれを確認する術はないが、今目の前にいる。
 俺が覚えているオーヴァートより、やや男性的だった。いや、オーヴァートに女性的だった箇所は一つもないんだが、俺の記憶にあるより……何が違うんだろう? でも違う、だが……悪くはない。
「お前の記憶に沿った顔にするか?」
「必要ない。ヤロスラフの記憶が一番正しいだろ? お前の側に最も長くいたんだから」
「期間だけならばアンセロウムだが」
「アンセロウムの記憶に沿った姿にしたいか?」
 そうなりゃ、原型すら留めていない顔になるんじゃねえのか?
「それは悩み所だな。それほど顔は違うか?」
「顔は少々、雰囲気が相当。良いだろそれも、他人の記憶の中に存在するお前を見れるなんて……躯は全くの別人だけどよ」
「ヤロスラフの記憶を探ったが、出てこなくてな。着衣姿の記憶を元に構築したのだが。大体の測量はできたが……重要な細部における、推測的な膨張が希望的観測になると、巨大化が否めない為に、一般医学論文の数値を基準にし実体化させたため、全く違うだろう」

ヤロスラフの記憶に、お前の全裸(重要細部推測的膨張の希望的観測部位含む)があったら、色々と問題だろが!

「なんでそんな回りクドイ言い方してんだよ。素直に、男のロマンって言えばいいじゃねえか」
 構築しなおせるとなると、虚勢の一つも張りたくなるんだろうが、俺としてはあまり虚勢を張られても困る。
「身体はお前が覚えている通りに再構築しよう」
「責任重大だな。他のヤツに、壊れたのバレないようにしなきゃならねえんだろ?」
 今更「怪我をした」などと言う気にもなれない。どう見ても、壊れていたんだから。言葉を飾る必要はない。本来ならば、飾って人間のように負傷したとでも言えばいいのかもしれないが、目の前で起きた事を真正面から受け止めれば……壊れたとしか言えない。
 “壊れた”という事で、オーヴァートが完全に人間とは別のものだと、はっきりと認める。それで、何が変わるわけでもない。
「心配する必要はない。どうせ、お前以外は全て帰すつもりだ。お前の望む姿を思い描きながら抱かれれば良い。誰でも良い、ミロでもハミルカルでもお前が一番好む身体を望めば良い」
「お前の顔にミロの身体だとか、ハミルカルの身体だとかが付いても合わねえよ」

さあねえ……確りと思い出して抱かれたかどうかは、自信はないが
それにしても顔はヤロスラフの記憶で、身体は俺の記憶か
不恰好にならなきゃ良いな
俺が今一番鮮明に思い出せるのは、お前の躯だ


「これが、私か……礼を言う、ドロテア」
自分自身の時間を巻き戻す事だけはできない。起点がなければ時間を戻す事はできないから
“皇帝になった時点”までしか時間を戻す事ができない
私が皇帝になった年、トルトリアは滅亡した


だから、還してやれる。本当は、還してやれる。お前に全てを


 オーヴァートの身体が落ち着くまで、俺達は海中に沈んだハプルー遺跡(の残骸と言うべきだろう)で過ごした。ヤロスラフは、ここから出て色々と雑用をしていた。食事を持ってきてくれたり、逃亡したデズラモウスを捕まえたり……その際に周囲に甚大な被害があったようだ。
 どうもヤロスラフは人を生かしたまま捕らえるような行為は苦手らしい。別に、良いけどな。(後で知ったんだが、選帝侯は“生かしたまま捕らえる”という考え方を持ち合わせてない為、手間取るんだそうだ)
 オーヴァートは一日中魔法生成物の核を取り込んでいる、相当な破損だったんだろう。
 そしてこの回復力が全くなくなってしまったかのようなハプルー空中要塞遺跡だが、聞けば主砲をオーヴァートに向けて反射させた為、遺跡の一部にオーヴァートの身体と制御板にされて、主砲で粉々になったフェールセンの破片が紛れてしまった事が原因。
 フェールセンの躯は、自己修復に働く金属元素を停止させる働きがある為、自己修復が行われなくなってしまったのだそうだ。
 ザーベティアは知らなかったから、そんな作戦を実行したに違いない。ジェダは知っている可能性の方が高いが、詳細は不明だ。
 そして、あの遺跡の中で俺は右往左往していたが、オーヴァートが寄越したショルダーアーマーを使えば、制御室を使わないでも一時的に動かす事ができたんだと知らされた。それも、制御室よりも上位制御なので、思うままに動かせたと……。
 そういう事は最初に言っておいて欲しい。何の説明もなく、ただ寄越されただけじゃあ、解かるはずもない。
 あの手甲は身体の大部分を失ったオーヴァートの再構築に使われて、無くなってしまったが。持ち主に帰ったのだから、良しとしよう。
 宇宙空間で気圧変化によって殺害された遺体は、全て検証用にヤロスラフが運び出した。
「変わったお魚ですね!」
 ミゼーヌが喜んで指をしている深海魚。皆の姿は、それが釣り上げられた時によく似ていたらしい。
「そうだな。普通は此処まで深いと暗くて見えないもんだが。見える装置が動いているんだろうよ」
 陸上では大変な騒ぎになっているらしいが、最早どうでも良かった。この海の底に永遠に居られるわけではないが。何も聞こえない、この深い海の底で
「観たければいつでも言え、連れてきてやる」
 聞きなれない声のオーヴァートの言葉を聞く。声もヤロスラフの記憶から再生した。俺が聞いていたオーヴァートの声とは少し違う。この深い海の底の沈黙の中で気付いたのだが顔も声も、恐らく若い頃のオーヴァートの物なのではないだろうか? 
 二人がどんな出会い方をしたのかは知らないが「喧嘩をしても反逆とみなされない」所に到達したんだ、この先も一緒に居ればいい。
「稀にしか見られないのが良いんだろ」
 目線を上げても見えない空、帰って来た実感はねえのに……「ただいま」と言いたくなるのは、オーヴァートが生きているからだろうな。


 ハプルーから出る際、海中から水面まで光の階段のようなものが設置された
 ゆっくりと登りながら、周囲を見回す。幻想的ってのはこういう事なんだろうな 
 あまりの透き通る美しさに恐怖を覚えたミゼーヌが、手を握ってきた。俺はそれを握り返す
 もう片方の手を握るようにオーヴァートに言う
 少し考えてオーヴァートはその手を握った
 あんまりにも長い階段だったんで、途中で疲れて(海底5000mから登ってた……登りきれる訳ねえだろ!)
 陸上まで連れてきてもらったが


 無事マシューナル王国に戻り、その後投票でオーヴァートは総学長に選ばれた。前後して、オーヴァートは全ての愛人と別れた。『別れたのか?』と言ったら『始まってもいなかったさ“どれ”とも』と返ってきた。返す言葉もなく、何の反応をも返せなかった。
「こうやって書くんだよ、ミゼーヌ」
「教え方が上手いな、ドロテア」
「俺の授業にあたるヤツも可哀想だが、お前の授業にあたったヤツラを、俺は心の底から同情するね」
「オーヴァートは天才だから、教えるのに向かないのだ」
「フォローになってねえよ! ヤロスラフ!」
「レクトリトアードの試合じゃあぁぁぁ!」
「また、あの人の試合なの! ちょっと鍋の蓋何処?」
 ミゼーヌの記憶は、結局処分しなかった。ミゼーヌ自身がそれを拒んだ為、そして拒んだ事をオーヴァートが許した為に。
 二人の……なりたての、ぎこちない親子の間にどんな会話があったのかも、聞く事はない。この暮らしはいつか壊れると知りつつ、俺は新しく与えられた皇帝金属の手甲を嵌めた腕に触れて、目を閉じる。

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こうして最後の二年間が始まった
始まるまでに二年の歳月を要し、一万人もの死者を必要とした、迷惑極まりない恋が
だが、そんなものなのかも知れない
それが通常と違うのは

誰もが、この生活が二年で終わる事を知っていた事だろう

オーヴァートもドロテアもヤロスラフも

それを回避する術は、オーヴァートにもない

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それが愛だと言いたいのなら、勝手にそのように言うがいい

54回殺されたら、55回生き返らえらせようとしたと言おう
55回殺されたら、56回生き返らえらせようとしたと言おう

170回殺されたなら、171回生き返らえらせようとしたと言おう
171回殺されたなら、172回生き返らえらせようとしたと言おう

70000回殺されたのならば、70001回生き返らえらせようとしたと言おう
70001回殺されたのならば、70002回生き返らえらせようとしたと言おう

確実にいえる事は、私はドロテアを生き返らせる事を諦めることはない
ドロテアを生かした先にあるものが、私との別れだと知りながらも

永遠に後一度だけと、生き返らせる
それが愛だと言いたいのなら、勝手にそのように言うがいい

私にその力があるから生き返らせるだけだ

アイシテイル アイシテル


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