PASTORAL −127

「ダーヌクレーシュよ。 “余程” の事が無い限り、ログハウスには入ってくるな。良いな」
「御意。楽しき休暇をお過ごしください」
 雪原で膝を付き頭を下げるダーヌクレーシュ、だが片手で尻を隠しておる。それ程、怖かったのであろうか。
 まあ良い、余はエバカインと二人きりで楽しむのだ。先ずは用意しておいた普通の洋服を着せてみる。エバカインのベビーピンクの可愛らしい事! 元々市民の軽装ばかりを着ていたエバカインは、違和感なく似合う! 余は違和感だらけであろうが、関係はない。
 編目の細かいベビーピンクのセーター、それを余自らの手で脱がせる喜び! この幸せを噛締めることが出来るこの時間!
 次はセーターの編目を解きながら脱がせよう!
 カルミラーゼンより『エバカインに使ってあげてください』と渡された器具の数々と、薬品。カルミラーゼンによれば『一種類だけで充分効果を発揮します』との事だが、最高の快楽を与えてやりたいので、全て一度に使う事に決めた。
 全部一度に使えば快感も乗算になろう。
 エバカインに処置を施していると、あの日の事を思い出す。こんな日がこようとは! 絶対に迎えようと思い、そして一度は諦めたエバカイン。
 そのエバカインが余の前で
「うっ……ああ!」
 嬌声をあげながら弓なりになり性を放つ。思い残す事は何もない訳ではないが、今はこの瞬間は充実しておる。
 神経に直接刺激を与えられ、快感に身を任せるエバカインの姿は、可愛らしくてたまらぬ。この小さな足(33.5cm)が快感に耐えようと、爪先に力を入れている姿などため息が出る。
 その可愛らしい様を見ておるとエバカインが全ての器具を乱暴に外した。そんな乱暴に外すと、エバカインそなたの繊細なモノに傷が付くかも知れぬぞ。傷が付かぬように最新の技術を用いた器具を作らせたようだが、それでも万が一そなたの繊細なそれに傷が付いてしまったら、余は泣くぞ。

「おっ……おに、いさまの方が、お兄様が欲しいです」

 余が欲しいと申すか! エバカイン!
 兄はそういってもらえて嬉しいよりも怖い! そのような事を言われると、余が崩壊してしまいそうだ! 内腿や腹に残っている残滓と、上気した色合いの肌と荒い呼吸。目じりから伝う、快感による涙。その涙の浮かんでおる瞳で余を見上げながら、
「あの、お兄様がそのようなお気持ちでないのでしたら……申し訳ございませんでした! 分を弁えぬ口を利きもうしわ……ん……」
 そのように申すか! エバカイン! 必死に視線を逸らしている余に、そんな追い討ちをかけてくれるか!
 深呼吸だ深呼吸! すーはーすーはーはっー! 落ち着け[レーザンファルティアーヌ・ダトゥリタオン・ナイトセイア 年齢:二十六歳 職業:銀河帝国皇帝 好きなもの:エバカイン チャームポイント:赤毛 特技:ヒゲダンス]よ!
「そのような事はない。どれ、そなたの誘いありがたく受けようではないか」
 がっついてはいかん! 落ち着け! 落ち着くのだ! レーザンファルティアーヌ以下省略よ! 先ずは落ち着くために、
「お、お兄様っ!」
 エバカインの性器を[はむり]と口に含んで、精神統一をはかるとしよう。
「んっ……くっ……」
 兄はそなたの性器が立派になって嬉しいぞ。立派な中にも上品さが漂い、それでいて優美さまで兼ね備え、まさに皇族と名乗るに相応しい佇まい。

 皮破れてこのようになり 色繊細にして繁み薄し

「あ、で、出てしまい……ますので、御口をはなし……て、くださ……」
 全く、何時までも慣れぬのだなエバカイン。だが、最後まで確りとされた方が心地よかろう。本心から嫌がっておるようには感じられぬしな。
 それとそなたを口に含んで射精させて、やっと余も落ち着いた。さて、次の段階にうつるとしよう。エバカインの清楚で柔らかで余を最上の快感へと導いてくれる入り口を、舌でほぐそう。
「兄上! そこは!」
 入り口付近を舐めておるだけで、悲痛な叫びにも似た声が上がってきた。本当に嫌っておるようだな。
「お止めください! そ、そんな所」
 舌を侵入させた所で、エバカインが体を捻り、余に向かって蹴りを繰り出す!
 その膝の何と可愛らしいことよ! その膝小僧で余の顔を蹴るのか? それもまたよし!
 さあ! 思う存分兄を蹴り飛ばすが良い! これこそ余が長年望んだ、兄弟喧嘩!
 兄は無防備になっておるから入れるが良い、その膝を! むしろ余が膝に飛び込む!!
 膝を入れられ飛ばされた余、そして内部でひび割れる音。
 顔の筋肉が有得ぬほど緩んでおったので、頭蓋骨にヒビがはいったようだな。平素、ゼンガルセンなどを相手しておる時は顔の筋肉で頭蓋や脳を保護しておるが、顔の筋肉を硬直させてはエバカインの膝が割れてしまうかも知れぬから緩めたのだ。エバカインの膝が無事のようで、良かった。
 脳に少々の負担がかかるかも知れぬが、髄膜でどうにかなろう。余の髄膜は通常の銃弾くらいでは突き破れぬ! よって少々頭蓋骨にヒビが入っておっても平気だ。些細な事よ!
「エバカイン」
「嫌です! イヤだって!! う……うあぁぁ!」
 身体を丸めて泣き出したエバカインが可愛らしくて仕方がない。
「兄上は! 兄上に! おにいちゃん、そんな事しちゃいやぁぁ」

 エバカインにおにいちゃんと呼ばれてしまった! 

 くぉぉ! 余をおにいちゃんと! おにいちゃんと! 幸せを噛み締め過ぎ、頭蓋骨に圧力がかかってヒビがより一層広がったような気もするが、この幸せの前には!
「落ち着け、エバカイン」
「お兄様、そんな事……そんな事!」
「二度とせぬと誓う故、許せ」
 本来ならば、皇帝として早急に怪我の治療に向かわねばならぬが、ちょっと虐めてしまって泣いておるエバカインを置いてゆくわけには行かぬ。
「うっ……うっ……なんで……」
「エバカイン、それについては後で謝罪を重ねるが、今問いただしたい事がある」
「はぃ……なんでございますかぁ……」
「余に抱かれるのは嫌か? 嫌であるのならばそうと申せ。今そなたは余に対し、偽証する権利は持たぬ。真実だけ述べよ。そなたが余に抱かれる事を嫌っているのであらば、このシュスターサフォント、銀河帝国皇帝として歴史に名を刻む者、その名において謝罪し以降二度と触れはせぬ事を誓おう」
 ちょっとばかり調子に乗りすぎておったが、エバカインはあの “性行為に関して脆い記憶神経系” を持つタイプ。
 無体を強いれば記憶が! 記憶が! 余の事を全て忘れてしまうようなことだけは! 余よ、奥歯を噛み締めてはならぬ! ヒビがヒビが! 少し痛……
「嫌じゃないです」
 全く痛まぬ!
 そなたのその言葉で治ったぞ! もしかしたら頭蓋骨も勝手に治ったかも知れぬな。
「良いのだな、そなたが嘘を付けば確実に解るぞ。余はそなたの事を ”そなた以上” に知っておる」
 そなたは少しでも憂いがあらば、記憶が無に近くなるのだが。
「は、はい。その、お兄様にそこ舐められるのだけが、いや……でして……それ以外は、その……お相手していただけないと、さ、寂しいと申しますか……」
 エバー! カッ! イーン! 余は二度とそなたに寂しい思いはさせぬぞ!
 おお! 顔の筋肉が緩む! 緩んでとても大変な事になる! 今は応急処置として手で顔を押えて簡易ギプスのようにして、最後までそなたに快感を与えよう! 余の頭蓋骨のひび割れなど、そなたに快感を与える大事に比べれば些細な事。
「あい解った。ではそれ以外で続けよう。道具も使わず舌も使わず、余の知力と手と男、それらを限界まで用い快楽を与えよう」
 エバカインを酔わせるだけ酔わせ、その後治療へと向かった。

 有意義な時間であった。

 医師達は顔面蒼白であったが、まあ、許せ。
「この程度の負傷、余の生死には関わらぬ。それは余が誰よりも良く知っておる」
「ですが陛下!」
 エバカインが可愛らし過ぎて、どうにもな。……舌を挿れるのは許可されぬようだが、周辺を舐める程度ならば許してもらえるであろうか?
「陛下? どうなさいました、難しい御表情で」
 幸せな時の表情なのだがな。

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