ハーフェズと主、怪しい店子を見送る

 カスラーが立ち去った時より少し遡り ―― ジャラウカがシアーマクに強襲された翌日。

「公演観てみたい!」

 ラズワルドの家に遊びに来ていた従姉妹のスィミンに下宿人を紹介したところ、旅芸人一座の公演を観たいと言い出した。
 それにつられて、下宿の反対隣の子ども向け私塾に通っている、ラズワルドたちよりも少し年上の子どもたちも賛同し、みんなで一応・・ジャラウカが団員になっている旅の一座の公演を見に行くことが決まった。

「じゃあ明日行くぞ!」
「おう!」

 ラズワルドの号令のもと、翌日全員が入場料と乗合馬車代を握ってやってきた。

「はい、この袋に入れて」

 子どもが金を持っているとスリに狙われるので、ハーフェズが袋を持って回収し、ラズワルドに預ける。

「金は任せろ」

 神の子の手から金を盗むような輩はいないので、皆で出かける時はラズワルドが持ち運びを担当していた。
 これは大人が一緒でも変わらない。

「じゃあ行くか」

 数名の子どもとメフラーブにナスリーン、そしてジャラウカとラーダグプタたちは、乗合馬車の停留所へと向かった。
 その道中、スィミンがハーフェズの服を褒める。

「ハーフェズ、素敵なお洋服ね。お父さんから?」
「うん、反物が届いてさ、母さんが仕立ててくれたんだ」
「上衣の素敵。これ何色」
「紫って言うらしいよ、スィミン」
むらさきベナフシュ……へえ」

 紫の染料は希少なため、庶民は紫色自体を知らない。
 乗合馬車の停留所に近づくと、スィミンが悲鳴のような声を上げた。

「アルサランさん!」

 黒の長上衣に同じく黒のズボンで、シャムシールを佩いているアルサランにスィミンが駆け寄る。

「スィミンさん。お待ちしておりましたよ」

 男も女も大嫌いと公言して憚らないアルサランだが、基本礼儀正しく笑顔を絶やすことはない。

「えっ! え?」

 神の子の身内相手には、まったく険のない穏やかな口調で話し掛けてくる。

「子どもの数が多いから、こいつにも来て貰ったんだよ」
「メフラーブおじさん素敵!」

 アルサランの登場で大喜びしているスィミンと、

「カーヴェー、ほらアルサランは女嫌いだから」
「俺の知ったこっちゃねえ!」

 不機嫌になる少年カーヴェー。そして彼を宥めるバームダード。この辺りはいつもの流れであった。

「美形だな……」

 初めてアルサランを見たジャラウカは、驚きで声を詰まらせながらそう呟くのが精一杯であった。
 馬車に揺られ旅の一座が公演を開いている広場に到着し、猛獣を使った曲芸などをひとしきり楽しんだ。
 その後、ジャラウカとラーダグプタの案内で、舞台裏へと案内され、子どもたちはおっかなびっくり猛獣を見て楽しむ。

「へえ、これが象か」
「強そうだろ……でございます、公柱」
「普通に喋っていいんだぞ、ジャラウカ」
「いや、でもなあ」
「サータヴァーハナの象戦車部隊ってのは、これが集団でかかってくるのか」
「そうだ。強いんだぜ」
「まあな。ヤーシャールの爺さんは、それで死んだそうだしな」
「ヤーシャールって誰?」
「神の子」
「……神の子のお爺さん、象戦車部隊に襲われたの?」
「うん。大将軍だったんだ」
「もしかしてマルギアナの?」
「そうそう、そこの分家の息子。ジャラウカ、異国のことなのに、よく知ってるな」
「そらまあ……」

 微妙な空気になったのだが、ラズワルドはまったく気付かず ―― 次の公演前の準備があるということで、一行は舞台裏を後にした。

「帰る前になにか食うか」
「広場の屋台で食べよう」
「そうだな」

 誰も彼もが上機嫌で、何を食べようかと胸を膨らませていたのだが、

「ハーフェズ。なに食べたい……ハーフェズ? ハーフェズ!」

 ラズワルドは隣にいた筈のハーフェズがいないことに気付いた。屋台の食べものに気を取られ、手を離している間に同じく屋台に気を取られ、ラズワルドの側を離れたハーフェズはそのまま人混みに流され迷子になった。

「迷子になったのか」
「まいご……」

 メフラーブの「迷子」という単語を聞いたラズワルドの脳裏を過ぎったのは「迷子のビザン」という物語。物語のあらすじは、とある街にビザンというやんちゃな少年がいた。その少年は親の言いつけを守らず一人で旅の一座の公演を見に行き ―― その帰り道に迷子になり人攫いに遭う。攫われたビザンは奴隷として売られ、行った先でも売られを繰り返し、最後は失明し暗黒大陸行きの船に乗せられて終わる。
 子どもに警戒を促す話のため容赦はなく、救いは一切ない。その話を思い出したラズワルドは泣き出した。

「ぼはああ!」

 上あごに刻まれている精霊王の婚姻の証が露わになるほど大口を開け、ラズワルドは泣く。

「ラズワルド、泣くな」

 メフラーブが抱きかかえて、辺りを見回すが、ハーフェズの姿はない。

「お前が泣いてると、ハーフェズの泣き声が聞こえないだろうが」

 ラズワルドはほとんど泣かない。泣き虫と言われるハーフェズと比べてなどではなく、赤子の頃から本当に泣かない子で、神の子とはかくも大人しいものかと ―― 成長したラズワルドは大人しくはないが、物心がついてからも泣くことはなかった。

「ぼあああ! ぼああああ!」
「ラズワルド、お前が捜してやらないでどうする!」
「しゃが……」
「幸いハーフェズは見た目に特徴があるから、聞いて歩くぞ」
「…………聞く! 聞く! 聞く!」

 普段は流暢な言葉を話す六歳児ラズワルドなのだが、今まで経験したことのない状況に途切れ途切れの単語を発するのが精一杯で ―― それだけで終わらないのが神の子であり精霊王の未来の妃である。

「さがせぇー!」

 全身から声を出し、ハーフェズの捜索を命じた。対象が誰であったのか、命じたラズワルド当人も分からなかったのだが、それを観ていた精霊王が、精霊たちにハーフェズの捜索を即座に命じた。
 滅多に命令を下すことのない精霊王からの、威圧ある命に精霊たちは姿を現し、ハーフェズを見つけ出し『こっち、こっち』と叫ぶ。

「はーふぇじゅ、あっち!」
「俺でも見えてる。みんな、そこから動くなよ」

 メフラーブはスィミンたちに動かぬよう指示を出し、ラズワルドを抱きかかえたまま、精霊が導くほうへと走り、

「ハーフェズ! あわあああ!」
「びじゃん! びじゃん!」

 身なり良く、立ち居振る舞いの一つ一つに気品のある男性に抱きかかえられているハーフェズを見つけ出した。
 男性は名乗らずに立ち去り、

「びちゃん! びじゃん!」
「びじゃん! びちゃん!」

 二人は抱き合ったまま大泣きし、そのまま泣きつかれて眠ってしまった。ハーフェズは羊の串焼きと男性の上衣を手放さぬまま。

「誰の服……羊の串焼き?」

 翌日目を覚ましたラズワルドは、ハーフェズの手から離れ絨毯に転がっている冷え切った羊肉と、毛布代わりに駆けられていたずっしりと重く、落ち着いた青緑色の上衣に気付き首を傾げた。

「助けてくれた人がいたのか」

 冷え切った羊肉はマリートの手で串から外され、玉葱と人参と大麦と共に煮られスープに生まれ変わり、ラズワルドたちの朝食となった。

「ああ」
「名前は?」
メルカルト神に忠実なハミルカル僕と名乗ったが、完全に偽名だろうな」

 人が神に己の名を語るなど烏滸がましいとして、忠実なれど大勢の一人であると名乗る人は多い。実際ラズワルドは近所に住んでいる人の名前を知ってはいるが、半分以上の人はラズワルドに対して「ハミルカル」としか名乗らず、本名は会話を盗み聞きして覚えたほど。手間はかかるが、神の忠実な僕と名乗るのをやめるよう言うわけにもいかないので、偽名に関してはラズワルドとしても何も言わない。

「偽名か……あの服は?」
「お前さんに寄進だとさ。ハーフェズを保護してくれていたんだから、寄進は受けてやれ」
「普通助けてもらったら、こっちが何か渡すよな」
「人間同士ならな。お前は半分神だから仕方ないだろ」
「まあ……で、どんな奴だったんだ?」
「どんな奴かって、二十代前半か半ばくらいで、頭良さそうな顔してたな。身分卑しからぬという言葉がしっくりくる御仁だった。背は俺より高かったような気がする。体格は俺よりも良かった」
「メフラーブより背が高くて体格悪かったら、病人だ」
「まあな。どこかの貴族さまだとは思うんだが、供は居なかったな」

 供人がいたら、涎と鼻水まみれの子どもを自ら抱き上げるようなことはしないだろうとメフラーブは判断した。

「腕っ節に自信があるんだろうなあ」

 一目で高価と分かる服を着て、供を付けずに歩くとなると、それなりの腕前か、もしくは少し離れたところに護衛がいたのかのどちらか。

「武人じゃないと思ったが、案外武人なのか」
「なんで武人じゃないと思ったんだよ、メフラーブ」
「腰に剣を佩いていなかった。一廉の武人ともなれば、腰に剣は必須だろう。だが体格は良かったような」
「メフラーブと比べたら、誰だって体格いいからな! そうか……直接お礼を言いたいものだが…………どうした? マリート」

 通いで家事をしているマリートは、食事を作り終えたあと、ラズワルドから命じられた通りに、昨日ハーフェズが涙と涎と羊肉の脂で汚してしまった青緑色の上衣を洗うために道具を用意し、下準備に取りかかっていた。

「ラズワルド公。釦を預かってくださいまし」
「ああ、分かった」

 釦は高級品のため、洗濯前には外して主に渡すのが一般的である。

「洗濯たのむぞマリート。あと釦は付け直さなくていい」
「わかりました。それでは洗濯に行ってきます」

 ラズワルドは外された釦を光にかざしながら眺め、

「メフラーブ、欲しいものがあるから金をくれ」

 メフラーブに金を要求した。メフラーブは戸棚から革の小袋を取り出し口を開けて見せる。

「これで足りるか?」
「多分な。足りなかったらツケにして、後で払う」
「何処に行く気だ?」
「バーヌーのところだ」
「バーヌーなあ。お前なら顔で無料になるけどな」
「顔で無料って」
「神の子ですって顔に書いてる奴から金を取るのは、あの強突く張りのバーヌーでも及び腰だからなあ」
「…………」
「どうした?」
「金、もう少し増やしてくれないか? メフラーブ」
「構わないぞ」

 ラズワルドは下町に住んでいる六歳児が持つには多すぎる金を手に、昨日泣きすぎて顔が腫れぼったくなり、迷子を恐れ絶対に手を離すまいと強く握ってくるハーフェズの手を引きバーヌーの店へと向かった。

「バーヌー」
「公柱からお呼びがかかるとは、あたしも出世したねえ」

 バーヌーの店は露天や屋台とは違い、一軒家の一階で開いている、かなりしっかりとしたものである。
 店員は両親が死んで引き取り手がなかった遠縁の娘。
 ラズワルドは早々に釦を二つ、バーヌーの前に転がす。それをつまみ上げ、光にかざしたバーヌーは感嘆のため息を漏らす。

「こりゃ見事なフェロザーターコイズだ」

 運が良い庶民ならば一度は手の取ることができるかもしれない、というくらい見事なフェロザーターコイズ。長年宝飾の仕事をしているバーヌーでも、そうそうお目にかかれない逸品。かつてこれに匹敵する宝石を見たのは、ラズワルドの父親バーミーンから「頼む」と依頼料として渡された紅玉くらいのものである。

「寄進されたんだ」
「寄進かい。穴が空いてるけど」
「もとは上衣の釦だが、外した。それを耳飾りにして欲しい」
「公柱のお耳を飾るのかい?」
「そうだ」
「寄進したやつの誉れだね。ちょっと時間がかかるけどいいかい?」
「なんでだ? それ釦加工がされているから穴あいてるよな? それに耳飾り細工をすりゃあいいから簡単なんじゃないのか」
「いくらあたしでも公柱のお耳に穴を開けるような品物は作らないよ」

 神の子でも耳飾りピアスを付けている者はいるが、それは耳朶にメルカルト文様がない子だけ。神の文様に傷を付けるなど以ての外 ――

「穴を開けないで耳を確りと飾れるやつを作るよ」
「そうか。じゃあこれが前金。足りない分は完成品と引き替えに支払う」
「その前金で充分さ」
「強欲バーヌーの名が泣くぞ」
「ははは。あたしが強突くを張る相手は人間だけさ」
「そうか。でも本当に足りなかったら言えよ。それでな、ヘナも買いたい」
「ヘナを買うのかい? それともヘナで模様を描くのかい?」

 宝飾店ではメヘンディを施すために必要なヘナも売っているのだが、ヘナは練ったり、描くのには専門の道具が必要である。

「模様を描く」
「だったらヘナを練ったやつが必要だね。自分で練れるかい?」
「……練ったやつ、売ってるのか?」
「売っちゃいないが、特別に作ろうじゃないか。道具もここにあるから、使っていいよ」
「ありがたく使わせてもらう。金はこれで足りるか?」

 ラズワルドはバーヌーからヘナを受け取り、思っていた通りに描き上げて、上々の気分で帰宅した。
 ラズワルドは自慢げに描いたものをメフラーブに見せたのだが、

「お前、それ……」

 メフラーブの一声は褒めるというよりは困惑だった。

「賢いだろ!」
「お前がやりたいことは分かるが、それじゃあ無意味だろ」
「なんで?」
「名前の書き方が間違ってるだろうが」
「正しい名前の書き方だろうが」

 メフラーブはいまだ腫れぼったい顔ながら、出かけていった時とは違い笑顔で帰ってきたハーフェズの額を指さす。彼の額には大きく「メフラーブの娘ラズワルドのハーフェズ」とかかれていた。

「迷子になった時、お前の奴隷だと分かるようにしたのはいいが、肝心のお前が誰か、これじゃあ分からんだろう」

 「誰々の娘である何々」というのがこの頃の正しい名前の書き方。「何々」にあたる個人の名は除外され「誰々の娘」でも通る。

「メルカルトの娘ラズワルドのハーフェズと描かないと、すぐには分かってもらえんし、変な奴らから守ってやれないぞ」
「……」

 ラズワルドは神の文様に覆われていない白い頬を膨らませ、眉はないのだが眉間に皺を寄せてこの上なく不本意であるという表情をつくる。

「……もっかい、バーヌーのところに行ってくる! 行くぞ、ハーフェズ」
「はい!」

 不本意ではあるがメフラーブの言っていることは正しいと理解し ―― ハーフェズの額に「ラズワルドは神の娘でもある」なるもう一文が足された。
 その後もメヘンディが薄くなる都度、ラズワルド自ら描き直すのだが、その際の文面は「メフラーブの娘で神の子でもあるラズワルドの奴隷ハーフェズ」で、メフラーブの名前が描かれないことはなかった。

 さて額に名前と所有者を大きく描かれたハーフェズだが、

「へへへへへ、いいでしょ!」

 笑顔で皆に自慢して歩き、そして皆に羨ましがられた。

「その名にふさわしい男になるんだぞ、ハーフェズ」
「神の子の奴隷なんだから、強くならきゃな、ハーフェズ」

 そして「強くなれよ」と皆から言われた。彼らが言っている強くなれは、武芸もそうだが「泣き虫」に関して。

「父さんも子どもの頃は泣き虫だったけど、大人になったら自然に治ったっていうから、きっと大人になったら治るもん!」

 言われる都度、ハーフェズはそう言い返す。
 ハーフェズと父親は年に一二度、手紙での交流がある。そして以前ナスリーンが「ハーフェズがとても泣き虫なんです」と書いたところ、サラミスから「わたしも子どもの頃は泣き虫だった。大人になれば治るから厳しくする必要はない。優しくしてあげなさい」と返事があった ――

あれハーフェズの父親って、ヤシュパルの弟だったよな」

 なぜ神の子たちに警戒されたかを教えられたジャラウカは ―― それならば仕方ないと納得した。異国で政敵同士が壁一枚隔てた家に住んでいたら、問題視されるのは当然のこと。

「ネジドのサラミス殿こと、サータヴァーハナで猛虎と呼ばれたチャンドラ殿で間違いありません」
「あの猛虎と呼ばれたチャンドラって、子どもの頃、泣き虫だったのか?」

 ラーダグプタはチャンドラと同年代で、彼の勇名に関しては子どもの頃から目の当たりにしていた。

とおで単身、槍一本で虎を討った男が、泣き虫だったと思いますか? サータヴァーハナであれほど勇敢な男はおりませんよ」
「……だよな」
「ただ……」
「ただ、なんだ?」
「ハーフェズは泣き虫ではありますが、身ごなしが素晴らしい。性格はともかくチャンドラ殿の息子だと言われたら、本国でも誰もが納得することでしょう」
「そんなに優れているのか?」
「チャンドラ殿と同じく軍人奴隷となり、その才を発揮することは間違いない……性格はともかく」

 ”性格はともかく”と重ねていわれている辺りに、まったく違うのだろうな……家の前の通りで、木の棒を持ち騎士ごっこをしている子ども達の中に居る、褐色の少年を見ていたジャラウカは ―― 木の棒を持ち子どもたちの騎士ごっこに混じった。彼は帰国するまで、子どもたちや、

「お手合わせ願おうか」
「神の子であり武人でいらっしゃる、ヤーシャール公と手合わせできるとは光栄にございます」

 偶にくる神の子たちと手合わせしたり、

「目つぶしとは卑怯だぞ! 色男」
「色男が誰かは存じませぬが、戦場では目つぶしなど可愛いものですよ、貴公子」
「……」
「目つぶしを卑怯だと言うお方は、大体お育ちがよろしいので貴公子と呼ばせていただいております」
「そ、そうか、色男」

 ”アルサランも強いんだぞ”と聞かされて勝負を挑んだところ、勝負開始と同時に握っていた砂を顔にぶつけられ、もんどり打って倒れたあげくに貴公子と呼ばれ散々な目に遭ったり、

「大将とったぞ!」

 多数の子どもたちと勝負し、劣勢になったあたりでラズワルドを右小脇・・・に抱えて「大将とった!」と叫び逃げ、さらに追い回されたりして過ごした。
 子どもたちと遊びに遊び、三か月後、ジャラウカは旅の一座と共に王都ナュスファハーンを去った。
 子どもたちは旅の一座を城門で見送り ――

「楽しい人たちでしたね、ラズワルドさま」
「そうだな。ジャラウカの胡散臭さはそのままだったけど」

 ラズワルドは胡散臭いという言葉を覚えた。