我が名は皇帝の勝利


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 キサと話をしていて気付いたのですが、相手が気に入ったりした場合、相手に気に入ってもらう為には、それ相応の努力が必要のようです。私は陛下の好きな物も知りません、大体陛下ってお幾つでしたっけ? えーと私より十九歳年上ですから、私そろそろ十八になりますので凡そ三十七歳ですか。
 結構なお年です……私、子供は自分が二十歳くらいと考えていたのですけれど、私が二十歳ですと陛下は三十九歳? 
 それは大変ですわね。もう少し陛下のお年を考えるべきでしょうかしら? そうですわよね……。でも私の方から「陛下? ご一緒しませんか?」……何か違いますわよね? こういう事って中々教えていただけないのが困りますわ。
 見た感じ、アーロンは真面目ですから無理でしょう? アグスティンはちょっと違うような気がします、デイヴィットはもっとダメですわね……そうだ! ファドルに聞いてみましょう!
 どうやってデイヴィットを誘っているのか、尋ねてみましょう。先生ですから、教えてくれるハズです。
「な…………そ、それは」
 あら? 凄い顔になってしまいましたわ。
「実はお誘いしなければならない殿方がおりまして、それで声のかけ方が解からないので」
「えーあの、カミラは何処で……その。ちょっと待って、待て! その話は後で!」
 教えていただけそうで良かったです。後はキサ学校ではキャサリンと呼びますが、キャサリンにアーロンの体格データを。何でも服を作るのだそうです、アーロンならば洋服などあまる程持っていると思うのですが。それとこれとは違うのでしょう。
「はい、どうぞ」
「ありがとう! ……アーロンってカミラの言う事なら何でも聞くよね。私が言っても絶対聞いてくれないけど」
「アーロンのお父様が私のお父様の部下だったので、その関係ですね」
 実際は伯父様ですが。
「カミラはアーロンの事……好きじゃないんだよね!」
「何度も言いましたが、そのような感情は持っておりません。大体、私別の方がおりますし」
 好き嫌いは別としてですが。私の言葉に、キサが凄い顔をして見上げてきました。驚いているようです。
「え? 誰? アグスティンとかデイヴィットとかじゃないよね」
「違います」
「ねえ? 誰? 教えて教えて! 片想い! それとも恋人同士」
 夫婦です……とも言えませんし、片想いでもありませんし。私も陛下も想いあってもおりませんし……ですがこの場合は、そうですね
「親が決めておいてくれた婚約者、と言うべきでしょうか? 幼い頃に両親を失った私の後見人でもありました」
 何故か皆が、ガサガサと集まってきました。蟻が砂糖に集まるかのようですね。何故か皆さんに『どんな人?』と尋ねられます。『あの黒髪の人?』……それはデイヴィットで、私には絶対関係ありません。
 一通り騒いだ後、私はファドルの所へと行きました。一緒に帰宅して教えていただきましょう!
「今日は何を作るのですか? ファドル」
 最近は随分と私も料理が上手になりました。味はファドル譲りなので、クバート家の味です。
「な、何作ろうかね?」
「何故緊張なさっているの?」
「その、誘うとか……デイヴィットに聞いた方が」
「デイヴィットでは役に立ちません。同性が好みなのですから」
 ファドルは頭を抱えて困り果ててしまいました。
「困るほどの事なのですか?」
「ちょっと詳細がわからないから……その……」
 詳細って? ファドルの家に戻って二人で料理を作ってデイヴィットを来るのを待っておりました。あの人、どれ程忙しくても必ず夕食を食べに此処まで来るのですよ。
「そりゃまあ、このマメなところがファドルを落としたから」
「デイヴィット!」
 パスタをフォークで巻きながら(フォーク以外で巻いている人を見た事はございませんけれど)此方をみて話をするデイヴィットの表情、妙に嬉しそうな気がしますが……なんでしょう?
 デザートまで食べて、結局後日デイヴィットが教えてくれる事になりました。……デイヴィットで良いのでしょうか?

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