PASTORAL −60
「シャタイアス、製薬艇横付けしろ」
 アダルクレウスに、直接ゼンガルセン王子に言えといわれた。
『陛下の御口に入ってしまう以上、最低でも近衛兵団団長閣下の許可は必要だ』なんだそうだ。
 其処までして欲しくもないけれど、来てしまった以上言わないで帰るのも悪いので『……という薬を使用したく』と告げた所、
「で、何味が欲しいんだ」
 わざわざ作ってくださるようです、それもゼンガルセン王子立会いの元。
「何味と言われましても」
「薔薇とラベンダーと檜と緑茶のどれが良い」
 現実に戻って、自分のアレがそんな匂いと味になるのかと思うと、正直いたたまれないのですが……結局薔薇になりました。
 間接的にでも兄上の御口に薬が入るとなると、色々な許可が必要なのだそうだ……知らなかった。兄上、普通にタブレット口になさるので。
 だが確かに、宮廷医師以外からは受け取らないもんな。
「薬の持続期間は原則的に三日。出しすぎればその分、早く味は消える」
「ありがとうございます」
 等と言って良いのかどうなのか? 自分自身なんともいえない気持ちで一杯になりつつ、再び陛下の空母へ。
「もっと気をつけろよ、エバカイン」
 何時も迷惑かけてゴメンな、アダルクレウス
「注意しておくし、これから注意事項に目を通しておく。そういえば何でお前、一般兵の逮捕なんてしてたんだ? お前の仕事は陛下の護衛だろ?」
「護衛には護衛なんだが……ちょっとな。宮殿なら危険もあるが、戦艦や空母は防ぎようがないから」
 確かに外からの攻撃に、警備は無意味だろうが……なら何故従軍しているのだろうか?
 思いつつ、部屋に戻って薬を飲んで寝た。陛下はまだお仕事があるそうだ。本当に、お忙しい方だ。

翌朝

 基本的に俺はバカだと思う。今、バスルームで鏡に手をつきながら、己のバカさ加減に打ちひしがれていた。
 本当に薔薇の味がするのかどうか? どうやって確認するんだよ! 陛下のお相手を務めさせていただく前に確認するとしたら、自分でやるしかないじゃないかっ!
 当然陛下のバスルームは人が立ってるから報告されるじゃないか、陛下に。
 報告されても構わないけど、報告されたら……されたで……ああ、考えなしな俺! 軽く打ちひしがれていたら
「ゼルデガラテア大公殿下、陛下がそのままで来られるようにと」
 陛下がおいでになってしまった! お待たせする訳にはいかないので、ガウンのまま陛下の前に。
「久しぶりだな、エバカイン」
「はい。また兄上にお会いできて嬉しくあります」
「お前の活躍であのゼンガルセンに歯噛みさせたのは愉快であった。余程悔しかったのであろう、次の会戦ではお前を援護につけるように依頼してきた」
 俺の活躍って……何一つ活躍してませんが……。余程悔しかったんでしょうね、ゼンガルセン王子。
「次の会戦はゼンガルセンに花を持たせてやる、あれの出世祝いをも兼ねてな。故に一年後の会戦、お前はゼンガルセンの援護をしてやれ」
「はい」
 『出世祝い』って何の事だろう? 今の会戦の出世のお祝いではないよな? 結婚のお話も聞かないし。結婚したくらいじゃ「出世」とは言わないよな。まるで確定事項のような……あの人があれ以上出世って……
「ところで、エバカイン。そのゼンガルセンから面白い話を聞いた。お前、薬を飲んだのだそうだな」
「はっ! はい!」
 ゼンガルセン王子の口から既に陛下のお耳に!
「余計な事に気を回さずによい。お前のそれは味は悪くはない。それの味と言うよりは、まだ熟れきらぬ青い林檎に早摘みの檸檬をかけたかのような清涼な味がする。それ自体薄くさらりとしておるしな」
 ソレがソレらしくないというのは、男として最早終わっていると宣言を下されたような気がするのですが……むしろ弱い? なんか思い当たる節があるな。
 ですが陛下がそれで良いと仰られて、飲まれやすいと(飲んで欲しいとは全く思いませんが)仰られるのでしたら、喜ばしい事としておきます。
 アレは繊細だそうですし、ソレは薄いらしいですし……陛下にお褒めいただいたのだから、胸を張っておこう。誰にも言えない事ではありますが。
「出過ぎた真似をして申し訳ございませんでした。薬の方は三日で効果がなくなるとの事ですので、効果が切れた後にお相手を務めさせていただきたいと」
「構わん。それほど予定に空もないのでな」
 陛下はお忙しいお方でいらっしゃいました。
「それに、出せば元に戻ると聞いた。一日で元に戻してやろう。さあ、来るが良い」

兄上、やる気満々のような気がいたします。正直、怒ったゼンガルセン王子よりも怖いかと……

 そんな訳で、ただ今兄上の手で
「あ、あに……うえ……っ!」
 あっ……本当に……バラの香り、だ……
「あ……いぁ……ああっ!!」
薬作ってくださってありがとうございました、ゼンガルセン王子

(ゼンガルセン王子:どういたしまして。我も軽い嫌がらせが出来て楽しかったぞ)

*****************

− ゼルデガラテアがサフォント帝と同衾して二日目の夜のこと −

ふと兄上の動きが止まって
「エバカイン」
 俺の手を掴んで。俺の乳首の上に置いた
「は、はぃ?」
「自分で愛撫したらどうだ? 心地良くなるであろう」
 ええ! 自分で自分の……その、多分何も感じないというか、それよりも、
「私が心地良くなっては! 兄上に心地よくなっていただかない事には」
 俺は心地よくなる必要性は無くて、兄上を……
「ならば、其方が余の胸を愛撫するか?」

カンベンしてください!(即答)

「あっ! 兄上の胸を触るなど、恐れ多くて! あっ! あの! 自分で触りますので! はいっ!」
 兄上の乳首を触らせていただくくらいなら、自分の乳首ちぎれる程嬲り倒す! ええっ! 嬲り倒させていただきます!
 必死に抓んでいたら、
「痛いのではないか?」
「だ、大丈夫でございます」
 いや、兄上に確りと触っている所を見せましょうとおもいまして。ギューギュー力いっぱい押していたら。
「もう良い。そう無理にやらんでも。まだ開発もされておらぬのに、無理強いさせたな。充分に開発してから自身で良くなれ」
 ここで開発されたら、俺普通の生活に戻れないような……

ゼルデガラテア大公二十二歳、未だ普通の生活に戻ると勘違いしている男

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− ゼルデガラテアがサフォント帝と同衾して三日目の夜のこと −

「あにぅ……え」
「失礼しますよ、陛下」
 訪問者が二人。
「ゼンガルセンとシャタイアスか」
「あっ……あぁ……」
 何で兄上って、普通にお話できるんだ……んっ……ろう。シーツ掴んで精一杯意識を保とうとしている俺とは違って、
「休暇願いにサインを頂きたく参りました」
「んっ……んん! あっ……」
「寄越せ。ペンを持ってまいれ」
 俺が変なんだろうか……不安になっ……くっぅ……
「はぁ、はぁぁ、ああ」
「良い休暇を過ごしてくるのだな」
「ありがとうございます。それにしても陛下」
 く……はっ……あっ……せめて王子達が出て行ってから達したい。
「全部おさめないで加減なさるとは、おやさしい事で。このゼンガルセン、感動いたしました」
 え? 全部おさめな……次の瞬間、全部引き抜かれて
「どうした? シャタイアス」
「お楽しみの所をお邪魔してすみませんでした。失礼させていただきます陛下」
 同行者のオーランドリス伯に引かれて、王子は出て行った。
「へっ……陛下……その、全部」
 じゃないんですか? その……ええっ!!
「気に病むな、徐々に慣らしてやるから安心しろ」

 無理です! これ以上は絶対に

「待たせたな、再開しよう」
 兄上が何故冷静なのか解った……先しか入ってないから……ああ!
「あにぃ……うぇ……」
 再び挿入されました。
 こ、怖いけど触ってみようかな? 残りどのくらいかな(手で触ってみた⇒挿ってない部分?⇒あれ?)……ああああ! ムリムリ! 絶対に、全部入ったら……その、
「あっ! はぁ……あっあっ!」
 ……絶対、無理で、すって……だ、ダメ……

ゼルデガラテア大公二十二歳、知らなくても良い事を知った男

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