「 れは、私達の残骸だ」
「ヤロスラフ」
「何用だ、、オーヴァート?」
「核が同じ味でつまらない。成分的に違うのに、全て同じ味なのは何故だ?」
「知るかっ!」
「味気ないから、塩でもふってくれ」
「今の段階で、余計な物を取り込むな!」
「海水から抽出した、天然ミネラル豊富な塩作ってくれ」
「……解かった」
「そうだ、お前ドロテアに妹がいるの知っていたか」
「知っている……知らなかったのか?」
「全く。どうして知っている」
「依頼されたからだ、届け物の。直接会ったわけではないが」
「何処かの学生か?」
「神学校の優秀な生徒だ」
「神学校?」
「エド正教正教學園ベルンチィア公国支部、ロクタル会派属だ」
「それはまた、姉に似て格闘な娘だな」
「娘というよりは子供だ。……まだ十だったか十二だったか」
「オーヴァート? 声が変だな」
「気にするな、音声機能回復まで至っていないだけだ。 ま言った通り、
あれは私達の祖先フェールセンを元に 為、衝突などするとこちら側も損傷がある。この、被弾と破壊と破損率が80%を超えた以上、衝突するのは得策ではない。だが全てを強制的に動かすのには手間が掛かる……だが、弾き飛ばせば何とかなるだろう」
「あのな、ヤロスラフ」
「何だ? 今度は砂糖でも作ってくれば良いのか?」
「いや……マルゲリーアなんだが、後十年と二十八日で死ぬ」
「そうか」
「お前も聞きたいか」
「言いたいのなら」
「因みに俺は……」
「俺?!」
「似合わないか?」
「似合わん!」
「即答か。お前、結構気が強いというか……まあ良いか」
「それで、最低寿命は?」
「それよりも”俺”と言うのを許可してくれないか?」
「嫌だ」
「何故嫌なんだ?」
「……嫌なものは嫌だ」
「弾き飛ばす? 板を?」
「此方が進む方向に る制御板を、殴り飛ばす」
「エルストの事なのだが」
「どちらのエルストだ?」
「捨てたほうだ」
「捨ててなどはいない。お前が皇帝となったら聖職者を辞める事は、事前に届け出ていた」
「ヤロスラフ。お前エルストが法王になれるように、影で手を打っただろ」
「そうでもしなければ、聖職者を辞められそうになかったのでな」
「だろうな。あの狂信者ディス二世が、最大勢力ザンジバル派を敵に回して勝てる訳がない」
「苦労したぞ、リクを……エルストを法王にするのは」
「お前の生母、バルミアは悲しんでいたな」
「度を越していた。あの人は、こうでもしなければ子離れできなかった。それに、最初は私を法王にしようとしていた」
「全く顧みない奴しか知らないが、そんなモノか」
「そんなモノだ。……大体、何故私が法王などにならねばならぬのだ? 神体はエドだぞ、アレクサンドロス=エド。我等よりずっと下った時代に造られた特殊兵ではないか。それに何故私が祈りなど捧げねばならぬ」
「エルストは真面目に祈っているようだが」
「祈らざるを得ないだろう。幸い傍には特殊兵がついている」
「特殊兵……ああ、あの枢機卿の事か。バルミアが推しに推したランドとかいう」
「ランドも法王には就きたくなかったようで、二人で必死にかき回した」
「だが、次はランドだろう?」
「そのようだ。あれ程エルストを嫌っていたというのに。出て行くと言っていたのだが……どうした物か」
「お前は其処までして、私の元に来たかったのか?」
「当然だ。だから今、此処にいる」
「いきなり……すごく、原始的だな。いや、それが出来るだけ凄いと思うけど……」
「それが確実だ。一人では間に合わな ので、ヤロスラフを連れて行く。
ドロテア、お前が突入場所・角度を制御 ろ。手動ならばまだ動くはずだ。反重力装置は、全損し はいない。半損以上ではあ が」
「ヤロスラフ」
「何だ? 下らない事だったら怒るぞ」
「あのな、ヤロスラフ」
「何だ? オーヴァート」
「私はドロテアの事、愛している」
「何を下らない事を。そんな事聞かされなくとも解かっている」
「そうか」
「そろそろ目が覚めそうだな。来るように言ってこよう」
「待っている。だが、嫌がるようなら無理強いしなくていい」
「……それは聞けないな。何せ私はエールフェン選帝侯、貴方の意に沿わない男だ」