君雪 −23
 ケセリーテファウナーフは私を殺すことができなかった。
 でも良いんだよ、ほら……レーザンファルティアーヌが来てくれた。
「下がれリスカートーフォン」
「御意」
 あ、ベライタイトルアス伯爵も一緒だ。でも入ってきたのはレーザンファルティアーヌ一人だけ。
 槍を持って傍に近づいてきて、膝をついてクロトハウセを抱きしめている私の手をしっかりと “抱きしめなおさせ” て立ち上がる。

「我が永遠の友よ。頼んだぞ」


そして殺す


「ありがとう」


 私は漆黒の黒髪を持つ男を抱き、胸から溢れる血の熱さに目を閉じて


かくて私は殺された


― さよなら 【僕】が産んだ 真祖の赤よ ―



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