月球宮・兄さんと一緒
月球宮・没ネタ[03]
途中で止めたので、終わりは唐突でネタの羅列
・ キャッセルが機動装甲で待機するよ(月球宮より)
・ なんか危険な感じがするよ(本編より)
・ 団長が一緒で解決したよ(無理矢理解決編へ)
近衛兵団団長は特殊仕様の団長服を着用し、金でオーランドリスの紋が象られている機動装甲の肩に乗り待機していた。
待機場所は ―― 宇宙空間
団長というのは皇帝の身を守るのが任務。その為に、もっとも危険な場所に出向くのはタバイとしては本望だが、もっとも危険な場所が弟が操縦する機動装甲の肩の上というのは、解っていても胃が痛むのだ。
”陛下のお月見は良いのだが……”
宇宙空間で無駄に格好良く舞い続ける特殊仕様のマントを着用し、自らには必要のないヘルメットを脱ぎ脇に抱えて、操縦席から帝星を監視している弟からもたらされる報告に答える。
え? なんで声が届くの? とか疑問に思ってはいけない。というか、この部分があったので、カットされたといっても過言ではないので。
ともかく異形は宇宙空間でも通信できるということで、納得していただこう!
《にいさーん》
「どうした? キャッセル」
《陛下がとっても楽しそう!》
「そうか。それは良いが、陛下に銃を向けるな」
《はーいー》
《にいさーん》
「どうした? キャッセル」
《デウデシオン兄さんが、ザウディンダルといちゃいちゃしてるよ。兄さんも望遠鏡で見ると良いよ!》
「あ、いや……」
《フェイス部分に画像を繋ぐよ。あれ? 兄さんヘルメット脱いでるの?》
―― 強制的に見せられないようにするために……な
ヘルメットには「キャッセルが見ている映像」と「デ=ディキウレの盗撮」が容赦なく、強制的に接続される。それを拒否するために、タバイは異形の特性を使っていた。
《にいさーん》
「どうした? キャッセル」
《ビーレウストの腕がないよ》
「……通常営業しているのなら、問題はなかろう」
《通常営業ってなに?》
「アルカルターヴァ公爵と一緒にいるのなら、と言う意味だ」
《一緒にいますね。トウモロコシを芯ごと口に押し込まれてますけれど》
「イデスアなら、それも通常営業と見て良いだろう」
―― ビーレウストの通常って、どういう物なんだろう? おまけに営業
キャッセルは思ったが、眼窩にがまの穂を挿している王子の通常など、狂気の湖に浮き美しい空を見上げ流れているキャッセルでも解るはずがない。
《にいさーん》
「どうした? キャッセル」
《タウトライバが姫(タウトライバの娘のこと)抱っこして、デレッデレだよ。なんか顔が情けない》
「見なかったことにしてやれ」
「娘は嫁にやらん!」と騒いで、遊び友達の同い年の男児が”おおきくなったらけっこんしよう!”と姫に言ったのを聞いて、本気で本物の銃をつきつけかけた弟に対して、かける言葉などタバイにはありもしない。
(*姫のところは名前が入っていたのですが、本編に関係あることを思い出し削除。というわけで、姫と呼んでます)
《兄さん》
「なんだ?」
《兄さんとミスカネイア義理姉さんとの間に娘が産まれたら、兄さんもあんな感じになりますか?》
「それは解らないが、もしも出来た場合のことを考えてはいる……」
《なにを考えて?》
「一緒に風呂に入るのは五歳までか? それとも四歳で止めるべきか? もしくは間をとって四歳半にするべきか?」
《へー》
タバイ=タバシュ。娘ができたらタウトライバと同じ道を歩むのは、火を見るよりも明らかである
《にいさーん》
「どうした? キャッセル」
《ヴェッティンスィアーン公爵とリスカートーフォン公爵が、肉を取り合って喧嘩してます。どちらかに加勢しますか?》
銀河帝国外戚王が、精神感応している相手と本気で肉の取り合い
「性行為以上の興奮状態になったら、危険なのだよな」
《そうですね。リスカートーフォン公爵は性行為よりも、肉の取り合いの方が興奮して快感を覚えそうですよ》
―― それで失明したら、アホだろ
たとえ宇宙空間であっても、言葉にできないことはある。それが見えないが眼下で繰り広げられている光景。
「あーどれ、どちらが優位だ」
宇宙空間から容易に地上を見ることのできる双眼鏡を目に近づける。
ちなみにこの双眼鏡、着衣も透過してしまうので、
「うぼぁ!」
諸刃などというレベルではない。
《大丈夫ですか? 兄さん》
見たくもない二公爵の全裸を見てしまったタバイは、
「ヴェッティンスィアーン公爵が優位だから、そのままにしておこうか」
もうどうでも良くなった。
―― 終了 ――
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