繋いだこの手はそのままに − PASTORAL

「陛下、到着いたしました」

 赤い髪の男が黒い戦艦から降りる
 降り立った先は開拓された惑星

「お前か。盟約通り参ったぞ」
「お待ちしておりました、陛下」
「確かに待たせたであろうな」
「教えてください、陛下。この大爺の大婆が ”あの方” と約束を交わした時からどれ程の時が流れたのか」
「今は四十七代皇帝が君臨しておる」
「あなたのお孫様ですか? 大皇サフォント陛下」
「そうだ」

 大皇サフォントは、その奴隷と会談した直後[僭主狩り]を打ち切るように皇帝に命じた

「前線に向かうぞゾフィアーネ大公」
「はっ!」
「そなたの最後の戦いだ、心行くまで戦い死ぬが良い! 余の忠実なる老犬よ! 宇宙の果てを見て死ぬが良い!」
「御意」

 僭主狩りが打ち切られた同年、ゾフィアーネ大公シャタイアス=ゼガルセアは戦死する

かくて[帝国騎士包囲網]が敷かれ
異星人殲滅饗宴への第一歩が刻まれた



『忠実なる老犬よ 宇宙の果てを見遣れ』

backnovels' indexnext